路地を曲がる前から、においが先に来ました。コチュジャン特有の発酵した甘さと辛さ、おでんのだし汁が煮立つ深い香り。そして目の前に広がったのは——ガスコンロの上で大きな鉄鍋がぐつぐつと煮立っている光景でした。太い餅、麺、野菜、揚げ物が真っ赤なスープの中に沈んでいて、おばあさんがゆっくりとかき混ぜていました。
あれが私の最初の新堂洞即席トッポッキでした。それから40回以上は通ったと思います。

トッポッキとは?ソウルのソウルフード
トッポッキ(떡볶이)は、韓国ストリートフードの代名詞です。ガレトッと呼ばれる円柱形のお餅を、コチュジャン(発酵唐辛子味噌)ベースの甘辛いタレで煮たもの。おでん、ゆで卵、揚げ物が一緒に入っています。
この料理を理解するには、新堂洞から始めるのが一番です。
発祥地・新堂洞のトッポッキタウン
**新堂洞トッポッキタウン(신당동 떡볶이 타운)**は、トッポッキの歴史が息づく場所です。
1953年、マ・ボンニム(マ・ボクリム)おばあさんがここで初めて「国物トッポッキ(スープ入りトッポッキ)」を考案しました。それまでは炒め物スタイルでしたが、スープを加えてテーブルで一緒に煮込むスタイルに変えたことで、この骨董の街全体が変わりました。
「신당동 떡볶이 타운」と書かれた大きな青いアーチ看板が目印です。路地の両側に約30軒のお店が並び、ほとんどの店に創業おばあさんの写真が看板に使われています。
即席トッポッキの食べ方:
大きな鉄鍋に生の食材が積み重ねられた状態でテーブルに届きます。餅、ラーメン麺、春雨、野菜、おでん、揚げ物、そしてコチュジャンペーストが並んでいます。ガスに火がつくと、ゆっくりかき混ぜながら15〜20分煮込みます。タレが全体に染み込んで煮詰まってきたら食べごろです。
鍋が空いてきたらポックンパッ(炒飯)をリクエストできます。残ったタレにご飯を入れて炒めるもので、これが絶品。必ず頼んでみてください。

注文の目安(1人分):
- 基本の即席トッポッキ:₩14,000〜16,000(約1,600〜1,800円、2人前〜注文可)
- マンドゥ(餃子)追加:+₩3,000(約340円)
- ラーメン麺追加:+₩2,000
- 煮玉子追加:+₩1,000
餃子は必ず追加することをお勧めします。タレをたっぷり吸って、もちもちした食感が絶品です。
新堂洞のおすすめ店:
- 마마복림(ママボクリム):1953年創業の元祖。週末のランチは行列必至。タレが少し甘め。
- 아마복림(アマボクリム):すぐ隣のお店で、創業おばあさんの娘さんが経営。似たレシピで、待ち時間がやや短め。
アクセス:新堂駅(2号線・5号線)6番出口、徒歩2分
営業時間:午前11時〜午後10時(月曜定休のお店あり、事前確認を)
新堂洞以外のおすすめスポット
即席鍋スタイルは新堂洞だけの特別なスタイルです。ソウルの他の地域ではお皿に盛られたスタイルや大きな鍋でのシェアスタイルが一般的です。

広蔵市場(広蔵(クァンジャン)市場)(1号線・鍾路5街駅):おばあさんたちが大きな鍋で作るクラシックスタイル。濃厚なタレと強めの辛さが特徴。1皿₩4,000(約460円)。立って食べるのが本場の流儀です。
望遠市場(マンウォン市場)(望遠駅):長年その場所で営業するトッポッキ屋台があります。観光地の半額で、本物の地元の味を楽しめます。
弘大(ホンデ)エリアの屋台:深夜2〜3時まで営業。大学生に人気で、チーズトッポッキやロゼトッポッキ(クリームソース)のバリエーションが豊富です。
トッポッキの種類ガイド
- オリジナル(コチュジャン):定番。甘辛い。これが本物。
- ロゼトッポッキ(로제):クリームソース+コチュジャン。辛さ控えめでまろやか。辛いものが苦手な方に。
- チーズトッポッキ(치즈):とろけるチーズがたっぷり。若い世代に人気。
- 宮中トッポッキ(궁중):コチュジャンなし、醤油ベース。辛さゼロで旨味が豊か。
個人的にはオリジナルが一番おいしいと思います。でも辛さが心配な方にはロゼも十分美味しいです。

実用情報
辛さの調整:辛いものが苦手な場合は「덜 맵게 해주세요(デル マッケ ヘジュセヨ)=辛さ控えめにしてください」と伝えると調整してもらえます。辛さの目安は標準で日本人基準7〜8/10程度です。
衛生面:新堂洞の主要店は清潔です。テーブルは個別で、鍋器具は毎回洗浄されます。
支払い方法:新堂洞のほとんどの店でクレジットカードが使えます。屋台は現金を持参してください。
訪問のベストタイム:平日のランチタイムは待ち時間が短め。週末の夕方は雰囲気満点ですが、行列を覚悟してください。
一緒に飲むもの:伝統的なペアリングは冷たい食醯(シッケ、甘い米の飲み物)。辛さをやわらげてくれます。夜は막걸리(マッコリ)との相性も抜群です。

よくある質問
一人でも行けますか? 市場の屋台は1人で1皿から食べられます。新堂洞の即席鍋は2人前以上の注文が基本のお店が多いため、友人と一緒に訪れるのがおすすめです。
ベジタリアン向けの選択肢はありますか? 標準的なスープはいりこ(煮干し)やおでんの出汁を使っています。「야채 육수로 해주세요(野菜だしでお願いします)」と伝えると対応してくれるお店もあります。宮中スタイル(醤油ベース)は動物性食材が比較的少なめです。
どのくらい辛いですか? 日本人の方の場合、標準的なトッポッキは7〜8/10程度の辛さです。ロゼとチーズのバリエーションは2〜3/10と大幅に辛さが抑えられています。
新堂洞と市場の屋台、どちらがおすすめですか? ソウルでトッポッキを一度だけ食べるなら、新堂洞に行ってください。即席鍋のスタイル、おばあさんが見守ってくれる雰囲気、最後のポックンパッ(炒飯)まで、体験そのものが特別です。




